国王が暮らした水の宮殿タマンサリと王宮
ジョグジャカルタは一時期ジャワ島全土を治めた新マタラム王国の都として栄えた古都であり文化都市です。そのマタラム王国を治めるスルタン(国王)はクラトン(王宮)に暮らしていました。なんだか早口言葉みたいですね。
実は現在もスルタンは存在しており実際にクラトンにお住まいなのです。といってもインドネシアは共和国で大統領が国家元首です。
スルタンはインドネシアの国王ではなく、あくまでもマタラム王国王家の子孫が続いているということで、日本で言えば旧家の当主のようなものです。しかしスルタンはジョグジャカルタ特別州の知事であり、今でもジョグジャカルタの長なのです。
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タマンサリ(水の宮殿)
タマンサリは花園という意味で水の宮殿と呼ばれています。1757年にマタラム王国の初代スルタンにより建設が開始された王宮の離宮で8年の歳月をかけ1765年に完成しました。
クラトン(王宮)から地下通路で結ばれていたこの離宮は、要塞、祭場、有事の際の逃げ場などさまざまな役割を持っていました。
プールでは王国に仕える女性や妻達が水浴びをし、スルタンは塔の3階の窓からプールを眺め気に入った女性に花を投げます。奥側のプールには仕える女性だけでなく、その子供達も遊んでいたそうです。
見初められた女性はスルタンとともに塔の裏側にあるプライベートプールで沐浴し、同じく塔の奥にあるプライベートルームで夜を過ごしたといいます。
タマンサリの見所はプールだけではありません。かつてタマンサリのまわりには水路が張り巡らされ、スルトンはカヌーにのって離宮までやってきました。現在水路のあった場所には民家が並び住宅街となっています。
路地を進んでいくと地下へ通路に続く階段があります。階段を降り地下通路を歩いていくと地下モスクが現れます。5芒星を象ったという階段は瞑想の場でもあります。天井は吹き抜けとなっておりとても不思議な空間です。
クラトン(王宮)
スルタンの住む広大なクラトンは一般公開されており、居住区など一部敷地を除いて立ち入ることができます。
王宮内部には代々のスルタンにまつわる品々が所蔵された博物館があるほか、定期的に伝統的なジャワ舞踊や打楽器によるガムラン演奏もおこなわれます。
クラトンの維持管理をしているのは王家の家臣たちで、声をかければ人懐っこい笑顔で答えてくれます。しかし王家家臣である彼らは腰に刀を帯びた兵でありクラトンの守人でもあるのです。
またスルタンのティータイムの支度をする女中など、クラトンの風景の中に今でも息づく南国の王宮文化と権威を見て取れます。
タマンサリとクラトンの行き方
ジョグジャカルタでの交通手段はほぼタクシーとペチャ(人力車)に限られます。なのでタマンサリとクラトンへもこれらの移動となります。
またタマンサリとクラトンはそれほど距離はありませんが、炎天下の中で徒歩だと思ったよりもキツいです。こちらの移動もタクシーかペチャ(人力車)とした方が良いかと思います。
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