新たな都は宇宙の中心 アンコール・トム
12世紀後半、クメール王朝はチャンパ軍(今のベトナム中部〜南部)の侵攻によってアンコールの地を奪われてしまいます。
しかしカンボジア史上最大の英雄ジャヤヴァルマン7世は数年後にチャンパ軍を蹴散らし、すぐさま占領されていたアンコールの地を取り戻します。王は破壊された建物群を修復し新たな都を築くことにしました。それがアンコール・ワットの北側に位置するアンコール・トムなのです。
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アンコール・トムは巨大城郭
アンコールは都、トムは大きいと言う意味で「大きな都」という意味になります。大きな都の名のとおりアンコール・トムは周囲3kmの環濠と城壁に囲まれた巨大な区画。アンコール・ワットが純粋な宗教施設だったのに対しアンコール・トムは城郭都市となっています。
巨大な城郭都市であるアンコール・トムは施設も多く見どころもたくさん。1〜2時間ではとても回りきれません。じっくり3〜4時間は余裕を見ておいた方が良いと思います。
南大門
アンコール・トムの一般的な入口がこの南大門。門に刻まれた巨大な顔が入場者を出迎えます。沿道の両脇には像が立ち並び、天地創造の乳海攪拌(にゅうかいかくはん)のシーンを象っています。
南大門からアンコール・トムのメイン施設であるバイヨンまではまっすぐ1.5kmの道のりです。歩いていくのは大変なので、門を抜けたところでトゥクトゥクに待っておいてもらいましょう。
南大門の西側にはアンコールゴンドラの乗り場があります。
遊覧船に乗り、ゆったりと違った角度のアンコール・トムを眺めるのもよいかもしれません。夕暮れ時は水面に夕焼けが映り込み幻想的ですよ。
バイヨン
南大門からまっすぐ走りアンコール・トムの中央までくると目を引くほど壮観なバイヨンが現れます。
ピラミッド型のバイヨンは「崇高な塔」という意味。インド神話に登場する宇宙の中心であり神々が住むという須弥山(しゅみせん)を模しているそうです。上空からみると宇宙を表す曼荼羅の形をしているのだとか。高さ45mのひときわ高い中心塔の周りに小塔がニョキニョキ生えているようですね。
バイヨン内部は他の遺跡群に比べて入り組んでいてまるで迷宮を探索しているかのようです。迷子にならないように気をつけてくださいね。
塔や門には4面に顔が彫られており合計で196面もあるそうです。彫られている顔は観世音菩薩といわれておりどの顔も穏やかに微笑んでいます。
バプーオン
約200m続く空中参道が特別感と美しさを演出しているバプーオン。一段高い参道は神聖な場所に向かうという気分を高めてくれるようです。
参道を進んでいくとシヴァ神が奉られていたという3層のピラミッド型寺院にたどり着きます。
バプーオンは「隠し子」という意味で、敵国から王の子が襲われるのを恐れこの寺院に隠したことにからその名がついたそうです。
ピミアナカス
スールヤヴァルマン1世の時代に完成した王宮内にあった王族専用のプライベート寺院。
ピラミッド型の寺院は天上の宮殿と呼ばれ頂上の祭壇では毎日祈りが捧げられていたといわれています。マイお寺があるなんてやっぱり王様はすごいですね。
象のテラス
全長350mもある巨大なテラスで閲兵やお祭りなどが行われていました。
テラスに王が立ち、これから戦いに挑む兵士達を鼓舞すると、奮い立った兵士達は意気揚々と勝利の門から出陣していったそうです。
勝利の門
軍隊が戦いに出発する時や勝利し戻ってきた時には象のテラスの正面にある勝利の門をくぐりました。勝利の門はその名のとおり凱旋門というわけです。
反対に戦いに負けた時や戦死者の魂は、勝利の門から500m南側にある死者の門から戻ってきたといわれています。
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