バンテアイスレイ

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宝石箱のように美しい遺跡 バンテアイ・スレイ

 


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この遺跡は10世紀後半に、ヤジュニャヴァラーハという当時のクメール王朝の側近の手によって建立されました。赤色砂岩という固い材質で造られているため、彫りの深いレリーフを施すことができ、また風化することなくほぼ当時の姿を保っています。

 

 

シェムリアップ市内からトゥクトゥクで1時間ほどで、郊外の遺跡としてはトゥクトゥクで行けるギリギリの距離だと思います。

 

世界遺産アンコール遺跡群のまわり方



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赤く女性的な印象の遺跡

バンテアイ・スレイは「女の砦」を意味するとおり女性的な印象を与えてくれます。

 

 

小ぶりで全体的に赤みを帯びた建物の壁や柱には、びっちりと繊細なレリーフが施されておりまるで宝石箱のよう。なによりも象徴的なのが「東洋のモナリザ」と称される美しいデヴァター達です。

 

 

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参道は左右にシヴァ神を象徴するリンガが並んでいます。赤色砂岩とラテライトで造られているため参道や遺跡に通じる道も赤っぽい色をしています。

 

東洋のモナリザ

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1923年、デヴァターのあまりの美しさに魅せられた作家がこれを盗み出そうとする事件を起こしました。ほぼ同年代に同じくルーヴル美術館から盗み出された美しい肖像画のモナリザになぞらえて「東洋のモナリザ」と呼ばれるそうになったそうです。

 

 

そのため本来「東洋のモナリザ」はこの時に持ち出されようとされたデヴァターを指すのですが、現在は遺跡全体のデヴァターを総称して「東洋のモナリザ」としているそうです。

 

立体的な彫刻

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入口である東塔門に施してあるアイラーヴァタ(白い象)に乗るインドラ神の彫刻です。当時のクメール王朝が信仰するヒンドゥー教ではシヴァ神が最高神とされていますが、バラモン教ではインドラ神が最も重要な神とされています。

 

 

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中央にはダンシングシヴァ。右にはドラムを刻む雷神インドラ。左はオーディエンスの女性、ではなくカーリカラミヤという美しい王妃です。

 

 

大変な美貌を持っていた王妃ですが王が亡くなると奪い合いの的となってしまいます。疲れきった彼女はシヴァ神に自らの美貌を破壊して欲しいと懇願。このレリーフは頼みを聞き入れたシヴァ神がその美貌を破壊するため踊っているシーンなのです。

 

 

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古代インドの長編神話「ラーマヤナ」のワンシーンで、猿王スグリーヴァとその兄ヴァーリンとの争いの場面です。右で矢を放っているのがスグリーヴァに加勢しているラーマ王で、左下のヴァーリンに矢が命中しているのがわかります。

 

 

これほど躍動的なレリーフはバンテアイ・サムレでもここだけ。この時代にこれだけ立体的で表現力のある構図があることに驚きです。

 

時代が残してくれた遺跡

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こうして見ると小さな堀に囲まれ、近くからでも視界に収まってしまうほど本当に小振りな寺院です。

 

 

アンコール美術の至宝とまで呼ばれるこの美しい宝石箱のような遺跡を残せたのは当時の王朝が安定していたためです。王権が安定していた期間に政争に巻き込まれることなく丹念に造り込めたこの建造物は、まさに時代が残してくれた遺跡といってもいいでしょう。



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